ネットワークエンジニアとは?仕事内容や年収、キャリアアップ方法を解説
インターネットや社内LANのようなネットワークは、ビジネスや家庭で必要不可欠なものとなりました。水道、ガス、電気のように社会にとって重要なインフラと考える方も多く、高度なネットワーク設計やセキュリティ対応ができるネットワークエンジニアの需要が高まっています。 このような時代背景から、将来性を見据えネットワークエンジニアへの転職を考えている方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、ネットワークエンジニアの概要や必要なスキル、年収などを紹介します。
この記事の目次
ネットワークエンジニアの仕事内容とは?
ネットワークエンジニアとは、コンピューターネットワークのシステム構築や保守管理を行う技術者です。顧客の要望を汲み取りながら、快適な通信環境を構築します。また、ルーターやLANケーブルといった通信機器を扱うのも特徴です。ここでは、ネットワークエンジニアの仕事内容を4つに分けて解説します。
ネットワークの設計業務
ネットワークの設計業務は、これから立ち上げるネットワークの具体的なプランの作成です。主な業務としてネットワークシステムの設計、プロジェクトスケジュールの作成、完成品の納品レビューがあります。
さらに、使用するネットワーク機器の選定や費用対効果の調査もしなければなりません。単に設計だけを行うのではなく、クライアントの要望に添って計画を立てる必要があります。データの通信を調査し、優先度を付けるのも仕事のひとつです。
ネットワークの構築業務
ネットワークの構築業務は、設計に基づいてネットワーク機器を配置する作業で、スケジュールに合わせてネットワーク機器の設置や設定をします。業務に携わる期間は構築するネットワークの規模によりますが、大規模なネットワークの場合、数カ月を要するケースもあるでしょう。
構築業務ではネットワークの負荷テストや通信テストも行い、具体的に、試験書に基づく障害試験、単体試験、正常試験の実施です。本来の業務の妨げにならないよう夜中に設置作業をする場合があります。
ネットワークの運用業務
ネットワークの運用業務は、システムが問題なく動いているかチェックする作業です。ネットワークシステムを構築した後は顧客が運用するのが一般的ですが、規模が大きい場合はネットワークエンジニアが運用業務を担当します。
具体的な業務内容は、仕様変更に伴う設定の変更、旧機器切り替えに伴うスケジュールの作成、データ入力、サーバーの起動や停止です。さらに、パソコンのような設備が増えた際は、ネットワーク回線の増強を検討します。
ネットワークの保守業務
ネットワークの保守業務は、システムに不具合やトラブルが生じたときに原因を突き止めて解決する作業です。例えば、アプリを使用している際に「接続できません」「カスタマーにご連絡ください」という表示が出る場合があります。このようなシステムの問題が発生した場合、業務に大きな支障が出るでしょう。保守業務では問題発生の原因を突き止め、障害が発生した部分を切り分け復旧作業を行います。また、ネットワーク環境を監視してトラブルを未然に防ぐのも仕事のひとつです。
ネットワークエンジニアで高収入は望める?平均年収ややりがいは?
ネットワークが社会のインフラとして定着した現在、ネットワークエンジニアの需要は高まっており、小規模の案件から複数のネットワークエンジニアが関わる大規模なネットワーク構築までさまざまな案件があります。企業からの依頼も多いため安定した収入が期待できるでしょう。ここでは、ネットワークエンジニアの平均年収ややりがいについて解説します。
技術や実務経験によって変わるネットワークエンジニアの年収
ネットワークエンジニアの年収の相場は300万円~400万円となっています。IT業界では決して高いとはいえない年収ですが、スキルや実務経験により年収は上がります。例えば、Linux系やWindowsのオペレーションシステムをサーバーエンジニアやデータベースエンジニアとして運用した経験があれば、大幅な年収アップが期待できます。
また、20代の平均年収が300万円台であるのに対し、30代になると500万円以上にアップするケースもあります。スキルや経験を磨くことで高年収を期待できる点が特徴です。
達成感が得られるやりがいのある仕事
ネットワークエンジニアはネットワークの基盤を構築できる点が一番のやりがいでしょう。構築業務は責任や苦労が多いものの、達成感が大きい仕事です。
また、ネットワーク障害が起きた際は指揮を執ることがあります。コミュニケーション能力やリーダーシップが求められますが、頼られる存在として周りから信頼を得られる点もやりがいになります。
さらにスキル次第で高収入を目指すことができるため、大きなやりがいにつながります。
ネットワークエンジニアの高い将来性
多くの企業ではITを導入したことで、作業効率や生産性の向上、コスト削減に成功しています。ネットワークインフラは企業システムの生命線とされています。
インターネット利用者の増加に伴い、不正アクセスの防止や通信料の増加によるネットワークトラフィックの解消といったネットワークエンジニアの仕事は増えました。今後、ネットワークエンジニアの仕事がなくなることは考えにくく、さらに需要は増すと予想されます。
ネットワークエンジニアに向いている人
ネットワークエンジニアに向いている人は、実機に触ることが好きな方です。パソコンだけでなくルーターやLANケーブルといった周辺機器を扱うことに抵抗のない方が向いています。
システムに障害が発生したときは早急に復旧作業をしなければならないため、忍耐力や遂行力がある方も適性があるでしょう。さらに、ネットワークの構築作業は業務時間外に行う場合があり、土日や深夜の作業が苦にならない方が適しています。
ネットワークエンジニアになるために必要なスキルと知識
ネットワークエンジニアを目指す方の中には、どのようなスキルが求められるのか気になる方もいるでしょう。特に、未経験者は必要なスキルや知識を一から身に付けなければなりません。ここでは、ネットワークエンジニアになるために必要なスキルや知識を紹介します。
ネットワークエンジニアリングの知識
基本的なネットワークの知識として最低限必要なのは、ネットワーク階層、アドレス体系、符号化、データ伝送の仕組みといった知識です。
さらに、TCP/IP全般の基礎知識も求められます。TCP/IPとはネットワーク通信で使われるプロトコルのことで、一般的に複数のプロトコルが用いられ、最適なネットワーク構築のためには論理的思考能力も必要です。
最新のIT動向の知識
クラウドサービスの普及により、ネットワークの運用や保守の作業量が減る一方、ネットワークの仮想化に対応する技術の需要は増える傾向にあります。基礎的な知識だけでなく、最新のIT動向に関する知識を蓄えることも大切です。
具体的には、クラウドコンピューティング、エッジコンピューティング、IoT、ビッグデータ、AIに関する知識が必要となる場面が考えられます。
コミュニケーションスキル
ネットワークエンジニアは顧客の要望や環境をヒアリングしなければなりません。また、結果のフィードバックも頻繁に行うため、コミュニケーションスキルは必須です。構築したシステムに関しては、利用するクライアントに分かりやすく説明する必要があります。相手に理解してもらうためのプレゼンスキルも重要といえるでしょう。
ネットワークエンジニア未経験者におすすめの本3選
将来にわたってネットワークエンジニアとして活躍するには向上心が欠かせません。未経験でネットワークエンジニアを目指す方は、本を読んで基礎的な知識を習得するとよいでしょう。ここでは、ネットワークエンジニア未経験者におすすめの3冊を紹介します。
1.マスタリングTCP/IP―入門編―
オーム社が出版する「マスタリングTCP/IP―入門編―」には、TCP/IPを中心にネットワークに関する基礎的な情報が書かれています。
図やイラストが多く用いられ、初心者でも分かりやすいのが特徴です。他の書籍では省略されることが多い内容を詳しく説明しているため、用語の意味を正確に理解できるでしょう。さらに、プロトコル、インターネット、ネットワークに関する内容が含まれており、ネットワーク理論を掘り下げて学習したい方におすすめです。
2.インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門
SBクリエイティブが発行する「インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門」では、アドレス設計、VLAN設計、仮想化、冗長化など、ネットワーク構築に必要な情報を分かりやすく解説しています。
物理設計、論理設計、可用性設計の説明もあり、実際のプロジェクトにおける参考文献としても役立つでしょう。内容はWANよりもLANが中心です。また、RFP対応や完成図書作成を意識した作りも特徴といえます。
3.図解でよくわかる ネットワークの重要用語解説
技術評論社が発行する「図解でよくわかる ネットワークの重要用語解説」は、フルカラーで初心者でも読みやすい内容です。キーワードとなる用語をイラストで解説しており、目で理解しやすいという特徴があります。例えば、PHSの説明では小出力型アンテナのイラストがあるため、正確な内容をすぐに理解できるでしょう。
ネットワーク用語集としてだけでなく、基礎学習書としても活用できます。分かりやすい本をお求めの方や使いやすさを重視したい方におすすめです。
ネットワークエンジニアとしてキャリアアップする方法
ネットワークエンジニアとしてキャリアアップするには、業務経験が積めるプロジェクトに参加する、より年収が高い企業に転職するといった方法があります。ここでは、それぞれの方法についてまとめました。キャリアアップを目指したい方は参考にしてください。
業務経験が積めるプロジェクトに参加する
キャリアアップに必要な要素のひとつは経験です。高いレベルの知識や技術が求められるプロジェクトや構築・運用の経験が積めるプロジェクトに参加すれば、スキルを有したネットワークエンジニアとして高く評価されるでしょう。
業務経験が積めるプロジェクトに参加するには、スキルを磨くことをおすすめします。例えば、中古ネットワーク機器を購入してルーティングスイッチについて学習することで、プロジェクトに参加できる技術があると見なされるでしょう。
より年収が高い企業に転職
ネットワークエンジニアとして働いていても、業務経験が積めるプロジェクトに参加できないという方もいるでしょう。キャリアアップのきっかけがつかめない場合は、キャリアコンサルタントに相談するのがおすすめです。
キャリアコンサルタントは相談者の思考の整理をサポートし、能力の発見や向上に関するアドバイスを与えます。相談をきっかけに、より年収が高い企業への転職も可能です。
スキルアップで年収アップ!ネットワークエンジニアの仕事に役立つ資格
ネットワークエンジニアは国家資格を必要とする資格職ではありません。資格がない方でも意欲があれば働くことが可能です。しかし、スキルの高さを証明するには資格の取得がおすすめです。ここでは、ネットワークエンジニアの仕事に役立つ資格を紹介します。
ITパスポート試験
ITパスポート試験とは、IPA(独立法人情報処理推進機構)が実施する情報処理技術者試験の一区分である国家試験です。情報処理技術者試験のエントリーレベルの資格で、ITに関する正しい知識を有していることを証明できます。
出題内容は経営全般、IT管理、IT技術です。幅広い分野から基礎的な内容が出題されるため、資格取得後はITの基礎知識が身に付くでしょう。試験会場は全国に100カ所以上あり、試験日は会場ごとに異なります。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験とは、IPA(独立法人情報処理推進機構)が実施する情報処理技術者試験の一区分である国家試験です。資格を取得すれば、高度なIT人材に必要な知識や技能を有していることを証明できます。
出題内容はハードウェアやソフトウェアの基本的な仕組み、プログラム作成時の考え方や命令文の理解といった内容です。会社運営に関係する法律や経営全般に関する内容も出題されます。試験時間は午前と午後に分かれており、出題形式は多肢選択式です。
シスコ技術者認定資格
シスコ技術者認定資格とは、ネットワーク機器メーカー「シスコシステムズ」による民間資格で、ネットワークの運用や管理を行うための知識を有していることを証明できます。
シスコ技術者認定資格は、「アーキテクト」「エキスパート」「プロフェッショナル」「アソシエイト」「エントリー」という5つに分かれているのが特徴です。最高峰のアーキテクト認定を取得すれば、世界中に支社がある大規模な会社のネットワークトラブルをサポートできることを証明できます。
ネットワークスペシャリスト試験
IPA(独立法人情報処理推進機構)が実施する情報処理技術者試験の一区分である国家試験です。資格によってネットワークに関する高いスキルを有していることが証明できるでしょう。
ネットワークスペシャリスト試験では、テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系からそれぞれ出題されます。コンピューター構成要素やシステム構成要素に関する出題もあり、ネットワークエンジニアに役立つ試験の中でも難易度が高いため、計画的な学習が必要でしょう。
情報処理安全確保支援士試験
情報処理安全確保支援士試験とは、IPA(独立法人情報処理推進機構)が実施するサイバーセキュリティに関する国家資格です。資格を有していれば、情報処理安全確保支援士を名乗れます。
日本ではインターネットの普及に伴い、サイバー攻撃による社会的脅威が急激に増大しました。経営リスクの軽減のため、多くの企業では情報処理安全確保支援士を求めています。
テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系から出題され、午前の試験は多肢選択式、午後の試験は記述式です。試験のレベルは高く、民間資格を含む情報セキュリティに関する資格の中で最難関といえます。合格のためには計画的な学習が必要です。
CCNA
CCNAはネットワーク機器メーカーのシスコシステムズが主催する民間資格です。シスコシステムズが販売しているルーターやスイッチに関する技術やネットワークに関する基礎的な知識があることを証明できます。
シスコ技術者認定には5つのグレードがありますが、CCNAは下から2番目の「アソシエイト」です。したがって、試験の難易度は低めで、ネットワークに関する基礎的な知識を持っていれば合格できるでしょう。
CCNP
CCNPもシスコシステムズによる民間資格ですが、CCNAよりもグレードがひとつ上の「プロフェッショナル」で、難易度が高めに設定されています。CCNAを勉強中でCCNPに興味を持った方やCCNAにすでに合格した方におすすめです。
CCNPの資格を有していれば、ネットワークに関する高い技術を持っていることを証明できます。CCNP取得者を優遇している企業もあり、就職や転職が有利になるのがメリットです。ただし、試験の難易度は高く、計画的に学習する必要があります。
ネットワークエンジニアのキャリアパスで狙うべく上流工程
ネットワークエンジニアとして最初に従事する業務は運用業務や保守業務といった下流工程を任されます。しかし、担当するのが下流工程ばかりでは年収アップは難しいでしょう。設計業務や構築業務のような上流工程を狙うことが大切です。
また、ネットワークエンジニアの実務経験を身につけた後は、構築の作業へと業務をシフトしていくのがおすすめです。このような業務異動は正社員よりも派遣社員や契約社員の方がやりやすいでしょう。
以下では「構築・作業」などの上流工程を任された後のスキルアップについて解説します。
スペシャリストのキャリアパス
スペシャリストとは特定の分野に関して専門性の高い知識を持ち、特化した業務を行う人材です。ネットワークエンジニアのスペシャリストには、セキュリティエンジニアとネットワークスペシャリストがあります。
セキュリティエンジニアとは、情報セキュリティやサーバーに関する業務を扱うエンジニアです。サーバーの構築や保守を専門とし、セキュリティに配慮したシステムを設計します。ネットワークスペシャリストはCiscoやJuniperといった特定製品のネットワーク環境を構築するエンジニアです。
スペシャリストになるには、専門的な知識の習得が求められます。問題が発生した際に、知識を生かした解決策の提案が必要です。スペシャリストを目指すのであれば、得意な分野を増やしましょう。
ゼネラリストのキャリアパス
ゼネラリストとは広範囲の知識を有する人材です。ネットワークに関する幅広い知識を生かせるでしょう。主なゼネラリストとしてフルスタックエンジニア、プロジェクトマネージャー、ITコンサルタントが挙げられます。
フルスタックエンジニアとは、提案から保守までをひとりで行えるエンジニアです。プロジェクトマネージャーとはクライアントとの話し合いによって要件定義をするエンジニアで、プロジェクトの責任者として働きます。
ITコンサルタントとは、ネットワークの構築をサポートするエンジニアです。主に、クライアントとの調整を担当します。ゼネラリストの仕事は多岐にわたり、さまざまな業務を受け持って経験を積まなければなりません。
ジャパニアスでネットワークエンジニアになろう!
ネットワークやシステムに関するスキルを習得したら、ネットワークエンジニアを目指しましょう。しかし国内にはさまざまなネットワークエンジニアの企業があり、希望する就職先や転職先が見つからない方もいるかもしれません。
ネットワークエンジニアを目指している方はぜひジャパニアスにお問い合わせください。クライアントの要望に沿ったスキル要件をヒアリングし、最適なソリューションを提供しています。ソフトウェア開発やインフラ構築分野をサポートしており、大手IT企業をはじめ多くの企業からの信頼を得てきました。
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まとめ
ネットワークエンジニアの主な仕事内容は、設計業務、構築業務、運用業務、保守業務の4つです。中でも、設計業務や構築業務といった上流工程を目指せば、スペシャリストやゼネラリストへの道が開けるでしょう。スキルアップによる年収アップも期待できます。
システムエンジニアを採用している企業は多くありますが、やりがいを持ってネットワークの仕事に携われるのがジャパニアスの強みです。働きながらスキルアップを目指したい方やネットワークエンジニアの中途採用に興味のある方は、ぜひジャパニアスにお問い合わせください。
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/ エンジニア基礎知識ネットワークエンジニアとしての転職・キャリアアップを検討していて、どのようなスキルが求められるか気になっている方もいるのではないでしょうか。 現在は仮想化・自動化・クラウドといった技術に対応できるネットワークエンジニアの需要が増しており、プログラミングスキルの重要性が高まっている状況です。ネットワークエンジニアが習得したい言語や学習方法、プログラミング以外のスキルや資質も知ることで、転職・キャリアアップを具体的に検討できます。 時代に合ったスキルを磨き、市場価値の高いネットワークエンジニアを目指しましょう。そこでこの記事では、ネットワークエンジニアとプログラミングの関係性をご紹介します。