AIの開発に重要な役割となるデータサイエンティストとは?仕事の内容や将来性を解説
統計学を生かしながらデータの分析を行い、整理や活用といった作業を担うのがデータサイエンティストという仕事です。データ活用が進む現代において、データサイエンティストは大きな需要があると言われています。しかし、一方で「なくなる」と指摘されることも。その根拠は一体どこにあるのか、気になる方もいるのではないでしょうか。 この記事では、データサイエンティストとしての仕事内容の詳細をお伝えするとともに、仕事がなくなるとうわさされる根拠についてご紹介します。これからデータサイエンティストを目指すという方は、この記事を確認し職業の将来性を確認しておきましょう。
この記事の目次
データサイエンティストの仕事内容とは
データサイエンティストの将来性を考察するまえに、そもそもどのような仕事なのかを整理しておきましょう。データサイエンティストとは、収集したビッグデータを分析することを通じて、ビジネスで発生している課題を解消させるという仕事です。
具体的には、プログラム作成やデータベース構築、そして運用を通じてデータの収集と分析を行います。ビッグデータには不要な情報もふくまれておりますので、取捨選択を行い、解決策を提言するというのが仕事の流れです。
経営課題などについては、専門のコンサルタントが対応する場合もあります。しかし近年では、データサイエンティスト自身が行うことが増えています。そのため、エンジニアとしての知識や経験のほか、マーケティングスキルについても求められる職業です。
データサイエンティストがなくなるとされる3つの理由
伸び盛りともいえるビッグデータを取りあつかう職業とあって、データサイエンティストの将来は安泰なようにも感じます。しかし、データサイエンティストはなくなるのではないかと危惧される職業です。一体なぜそのような説が浮上しているのか、3つの理由にわけて解説します。
AIの発展にともない、無人化が進むと見られるため
ビッグデータの解析そのものは、人間の代わりにAIが務めることも可能です。近年のAI技術の発達は目覚ましいものがあり、多くの企業がAIの導入を推進しています。そのため、近未来に人が不要になるのではないか、という予測も立てられています。
データサイエンティストの仕事をAIが完璧にこなせるようになれば、企業としては人件費のかからないAI化に舵を切る可能性が高いといえるでしょう。AIによって、データサイエンティストという仕事がなくなる、と考える人も多いようです。
仕事内容の定義が不確定なため
データサイエンティストという職業の定義は、まだあいまいな状態です。仕事内容に関する整理が進むことになれば、仕事内容はさらに細分化されるでしょう。
具体的には、「データアナリスト」「データエンジニア」というふたつの職業にわけられるべき、という説が唱えられています。細分化が実現した場合、現状のまま仕事を行うデータサイエンティストは減り、職員はより専門性の高い作業に従事することになるでしょう。
需要の拡大にともない、実力に格差が生じやすくなるため
ITに関連する職業は、現時点でも人手不足な企業が多く、今後数十年というスパンのなかで、さらに多くの人材が必要になると見られています。この状況を改善させるため、2020年から小学校でもプログラミング教育が必修化されました。
こういった流れにより、データサイエンティストとして働く人たちのなかで、実力に格差が生じやすくなる可能性が高まっています。レベルの低い職員は、高いスキルをもつ職員にとって代わられることになるでしょう。そのため、データサイエンティストとして働けなくなる人が増加する、という声もあがりはじめました。
データサイエンティストに将来性がある根拠
データサイエンティストがなくなるとされる理由を3つご紹介しました。結論からいえば、こういった危惧が実現する可能性はほとんどありません。なぜデータサイエンティストは安泰な職業としてあり続けられるのか、その根拠を3つお伝えします。
AIができることには限度がある
ビッグデータの分析といった作業に関しては、たしかにAIが人間の代役を務めることもできます。しかし、AIができるのはデータを利用した予測のみです。そこから改善策を見出したり、新しいモノを生み出したりすることは、人間にしかできません。
将来的に、データサイエンティストとしての仕事内容は減る可能性はあります。しかし職業そのものが失われるわけではなく、人間でなければできない仕事は残るでしょう。AIと協力関係を築き、人間をサポートするための技術として共存することが、データサイエンティストとしての未来像になります。
仕事の需要そのものは今後も増加し続ける
仕事内容の専門化が進むこと、あるいは実力格差が生まれやすくなることは、近未来にデータサイエンティストが課題として直面するリスクでしょう。ただし、仕事の需要そのものが減るわけではなく、むしろ増加し続けることが予想されています。
すくなくとも現段階ではデータサイエンティストが不足しており、さまざまな企業から高い需要をもつ職業であり続けています。とくに欧米などと比較して、IT技術者の輩出が遅れている日本では、データサイエンティストが重宝される時代がまだまだ続くことでしょう。
人材育成の真っただなかにある職業である
近年、日本国内において、データサイエンティストを専門的に育成する機関が急増しています。データサイエンス学部を新設する大学もあり、学校であつかうカリキュラムを監修するデータサイエンティスト協会が創設されたのも2013年のことです。
これらの客観的事実から、データサイエンティストは人材育成の真っただなかにある職業として評価できるでしょう。人材育成に力を注いでいる理由は、今後の市場において、さらに重要性が増す職業と考えられているからにほかなりません。
需要の高いデータサイエンティストになるための方法
これからのデータサイエンティストは、前述したように技術者のあいだで格差が生じる可能性も考えられます。実力が基準に満たない人材は、淘汰される可能性も捨てきれません。そこで、需要の高いデータサイエンティストであり続けるための方法について、解説します。
最新の情報にアップデートし続ける
とくに重視すべきポイントとなるのは、IT技術に関連する情報を、最新のものにアップデートし続けることです。ITに関する技術革新は、日々進化し続けています。時代や時期に応じて求められるスキルは、多く習得できるように努めましょう。
データサイエンティストは、提案力が求められる職業でもあります。アップデートした情報をアウトプットする技術を身につけることも重要です。創造性が豊かなアウトプットができる人材ほど、多くの業界や企業から重宝されやすくなります。
AIにできること・できないことを理解する
これからのデータサイエンティストは、AIと協力関係を築いて共存することが重要であると前述しました。これを実現させるためには、AIになにができて、なにができないのかを正確に理解し、補完しあえる関係を生み出すことが重要です。
AIの特性を把握し、AIを使いこなすことによって、人間の仕事を効率化させられます。つまり、AIができないことを理解し、それを補うための実力を身につけることこそが、優秀なデータサイエンティストとして生き残るための、重大な要素になるといえるでしょう。
エンジニアとしてのキャリア形成を優先する
データサイエンティストは今後も需要の高い職業であり続けるため、あわててこの職業に転職する必要はありません。データサイエンティストには、ソフトウェア工学やITスキルが求められますので、まずはエンジニアとしてのキャリア形成を優先し、基盤づくりを行うこともおすすめです。
プログラミング能力に長けたデータサイエンティストになれば、ほかのデータサイエンティストとの差別化を図れます。現場において、リーダーとしてふるまえる実力の持ち主として評価される可能性もあるでしょう。プログラミング能力を磨くことで、より重宝され、高収入を得られるデータサイエンティストになることができます。
まとめ
データサイエンティストは、ビッグデータを活用しながら分析を行い、企業の課題を解消させる仕事です。AIの技術向上などによって「なくなる」と指摘されることもある職業ですが、今後も高い需要を維持する可能性が高く、仕事がなくなる可能性はまずありません。
これからの時代をデータサイエンティストとして生き残るためには、最新の情報を取り入れることにくわえ、エンジニアとしてのキャリア形成を優先することがおすすめです。エンジニアとして培った技術や経験は、そのほかのデータサイエンティストと差別化を図るうえでの重要な要素となるでしょう。
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