プログラマーの仕事はなくなる?将来的なリスクと対策方法を解明!
2013年にオックスフォード大学発の論文「雇用の未来」が発表されて以降、「10年後にはプログラマーの仕事がなくなる」といった発言が継続的に聞かれます。このことから「本当にプログラマーの仕事はなくなるのか」と気になっている方もいるのではないでしょうか。 噂の真相やプログラマーができる対策、AIエンジニアの需要や将来性を知ることで、プログラマーが活躍できるキャリアパスを具体的に検討できます。 社会的な需要の変化や従来型のプログラマーのままでは、今後のキャリアアップしていく上で不安があることを理解し、将来的に市場価値の高いIT人材を目指しましょう。そこでこの記事では、プログラマーの仕事がなくなるといわれる理由や、AIエンジニアへの転職が有利な理由をご紹介します。
この記事の目次
プログラマーの仕事が将来なくなる!?噂の真相は?
「近い将来にプログラマーの仕事がなくなる」というのは、暴論や極論に聞こえるという方も多いのではないでしょうか。噂の発端になったのは2013年に発表された論文ですが、いまだに「10年後」というワードを引きずって語る論調が相当数存在する状況です。ここでは、プログラマーの仕事がなくなるとされる理由を3つに分けて解説します。
【理由1】AIの発達
2013年9月にオックスフォード大学のフレイ&オズボーンが発表した論文によると、機械学習と移動ロボット工学の進歩によって、米国において10年~20年以内(2023年~2033年以内)に多くの職業がなくなる(機械に代替される)とされます。
論文によると、プログラマーの仕事が機械(特にAI)に代替される確率は48%という試算です。プログラマーはアルゴリズムによって最適化された選択をもとに設計できるようになり、アルゴリズムが人間よりも高精度にバグを検出することを理由に挙げています。
マイケル・オズボーン氏は2016年の来日時インタビューに「技術的な可能性を示しただけで雇用が増える部分は一切考慮していない」と答えていますが、論文が社会に与えたインパクトは大きく、各国で「雇用の未来」についての研究が進んでいる状況です。
(参考: 『THE FUTURE OF EMPLOYMENT』/ https://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf?fbclid=IwAR0zUqXaPj4gsH3L2LcgK5YRGx9BujYi4uzFbQNaGBbJyvguxz5IL5m8lqQ)
【理由2】ツールの発達
一般的なシステム・ソフトウェア開発はプログラミング言語によるコーディング(プログラムコードの記述)を要しますが、近年はコードを全く記述せずにプログラミングする「ノーコード(No Code)」や、従来よりも少ないコードでプログラミングする「ローコード(Low Code)」による開発が注目されています。
ノーコード開発ツールはWeb・アプリ・業務システム・データベースといったさまざまな分野でリリースされており、基本的にはマウス操作のみで開発が可能です。
ノーコード開発ツールが全てのプログラミングを代替できるわけではありませんが、非エンジニアでも直感的に開発を担当できる環境が整ってきており、高度なスキルを持たないプログラマーの必要性は相対的に低下しています。
【理由3】オフショア開発が発展する可能性
日本は慢性的なエンジニア不足であり、経済産業省によると2030年には最大約79万人のITエンジニアが不足すると予想されています。ITエンジニアを求める企業の人材獲得競争が過熱する中で、注目を集めているのが「オフショア開発」です。
開発業務を海外の事業者や海外子会社に委託することをオフショア開発と呼びます。人件費が安く労働力の豊富なインド・中国・ベトナムといった国が主な受注先です。各企業で外国人IT人材の受け入れも進んでおり、開発業務における日本人プログラマーの依存率は低下しつつあります。
仕事がなくなる前に!プログラマーができる対策とは
「雇用の未来」が発表された2013年から見れば10年後は2023年ですが、いまだに国内のプログラマーは人材不足で、分野によっては開発担当者の需要はむしろ大きく伸びています。
とはいえ非エンジニアや外国人IT人材が国内プログラマー需要を満たす大きな要因となりつつある状況なので、対策は十分に検討しましょう。以下で、プログラマーができる対策を5つに分けて解説します。
需要のあるプログラミング言語を学ぶ
プログラミング言語の種類は多く、開発するシステム・ソフトウェアによって向き・不向きがあり、開発現場によって求められる言語は異なります。ITのトレンドが変われば需要の高い言語も変わるため、時代に合った言語を習得することが大切です。
近年急速に人気を高めている言語の代表格は「Python」です。PythonはWebアプリケーション開発・データ処理・統計解析・AI開発と応用範囲が広く、今後もさまざまな分野で安定した需要が期待できます。
Googleのソフトウェア開発の生産性・拡張性向上を目的に開発された「Go」、Javaの後継言語と目される「Scala」も世界的に注目度が上がっている言語です。
コミュニケーションスキルを磨く
プログラマーはチーム体制でシステム・ソフトウェアを開発する機会が多く、メンバーと足並みをそろえて開発できる協調性が求められます。
企業はITエンジニアの人材不足を補うために、国籍や経歴を問わずに人材確保する傾向が強まっており、開発現場の人材は多様化している状況です。
コミュニケーションスキルを磨くことで、さまざまな環境に対応できるプログラマーを目指せます。オフショア開発をはじめとした外部への委託が増え、プログラマーの働き方も多様化している中、将来的にはフリーランスへの転向も可能となるでしょう。
最新の情報にアンテナを張る
社会がITに求める役割は拡大を続けており、AI・IoT・ビッグデータ・クラウドといった新しい領域に関する開発プロジェクトが増えています。開発するシステム・ソフトウェアが変われば必要とされる技術も変わり、従来の技術では対応できないケースが増えるでしょう。
技術のトレンドが変わると新しいITエンジニア職も生まれ、プログラマーの役割に変化が生まれたり、開発環境が大きく変更されたりする可能性もあります。プログラマーを取り巻く環境は変化が激しく、技術動向や需要の変化をキャッチアップし続けることも大切です。
SEへ転職する
近年の開発現場では、ノーコード開発ツールやAIによるコーディング自動化が活用され始めています。これまではプログラマーが担っていた業務も、ある程度は自動化、または非エンジニアによる代替が可能になっている状況です。
開発プロジェクトは企画・要件定義があって成り立ちますが、「何を開発するか」を検討する上流工程に関しては、人間の持つクリエイティブな能力が必要で、基本的に機械やAIでは代替できません。
主に開発プロジェクトの下流工程を担当するプログラマーに対し、上流工程を担当するのがSE(システムエンジニア)です。機械による代替が難しいSEへ転職する選択肢を考慮することも大切です。
AIエンジニアへ転職する
AIエンジニアは機械学習や深層学習といった技術を応用し、人間のような知的作業が要求されるシステム・ソフトウェアを開発するITエンジニアです。AIサービスの例としては、音声認識システムや画像認識システム、自動運転システム、AIチャットボットが挙げられます。
従来のコンピューターシステムでは不可能な機能を実現できるため、医療・物流・自動車・農業といったさまざまな分野でAIエンジニアの需要が高まっている状況です。
Pythonに代表されるAI開発向き言語のライブラリや、動画分析・テキスト分析といった外部AIサービスを呼び出すAPIを活用して、独自サービスを開発できるAIエンジニアが求められています。AIは業務効率化や人材不足解消にも役立つと期待されているので、AIエンジニアへ転職すれば時代の先端でプログラマーを続けることが可能でしょう。
AIエンジニアの需要や将来性
みずほ情報総研の試算によれば、AI・IoT・クラウドといった先端領域の需要が拡大する一方で、先端領域に対応できない従来型IT人材は需要が縮小すると考えられています。特に大きな需要拡大が見込めるのは、さまざまな業界の人材需要や業務フローを変化させ得るAIエンジニアです。ここでは、政府も重視するAIエンジニアの需要や将来性を解説します。
(参考: 『IT人材需給に関する調査』/ https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf)
AIエンジニアは不足している
AIの社会的需要が高まっている状況下で、適切なAIサービスを開発できるAIエンジニアは世界的に不足しているといわれています。日本では経済産業省がAIエンジニアをIoTエンジニアやクラウドエンジニアと共に先端IT人材として認定し、従来型IT人材と分けて将来的な需給ギャップの対策を進めている状況です。
AIエンジニアの需要は高い一方で、AI後進国の日本ではAIエンジニアの数が不足しており、すでに大きな需給ギャップが生まれています。みずほ情報総研の試算によると、2030年には従来型IT人材が最大約22万人の供給過多となるのに対し、先端IT人材の供給不足は最大約38万人にまで拡大する見込みです。
(参考: 『IT人材需給に関する調査』/ https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf)
AIの需要は高まり続けている
AIは多方面で需要が高まっており、既存のAI技術を他の製品やサービスに展開する事例が増えているのも特徴です。
例えば、金融業ではコンタクセンターにおけるAIチャットボットをはじめ、与信・融資審査や株価予測にAIの活用が進むと予測されています。プロセス製造業では異常検知・機器制御や全体の稼動管理、組立製造業ではAI・IoTを活用したスマートファクトリー化、医療業界では画像分析・診断支援といった分野でAI活用が進んでいる状況です。
他にも、民生機器へのAI搭載やヘルプデスク業務のAIチャットボットによる代行も拡大しています。AIサービスを開発できるAIエンジニアは各業界から強く求められており、今後の需要拡大も期待できるでしょう。
AIエンジニアの平均年収って?
「求人ボックス」の公開情報(2021年3月7日時点)によると、AIエンジニア(正社員)の平均年収は581万円です。541万円~628万円の水準が最も多く、全体の給与幅は368万円~1,061万円となっています。スキル・経験・企業によって給与の幅は広く、条件次第では1,000万円クラスの高収入も期待できるでしょう。
なお、これは2021年2月に求人ボックス上で掲載されていた求人情報から算出した給料情報で、求人ボックス以外の求人情報は加味していません。どのような求人があるかはタイミング次第ですが、スキル次第では比較的高収入が期待できる職種といえます。
AIエンジニアの仕事内容
AIは従来のコンピューターシステムと根本的に異なり、「大量のデータを学習して推論する」という特徴があります。多くの職業を代替する可能性のあるAIですが、AI開発に携わるAIエンジニアの仕事内容は何なのか正確に把握できていない方もいるかもしれません。以下で、AIエンジニアの主な仕事内容を3つに分けて解説します。
AI技術を活用した製品やサービスの開発
AIの応用範囲は非常に広く、既存のAI技術がカバーできていない領域もまだまだ残されていると考えられます。新しいAI技術によって新分野を開拓し、産業機器・民生機器やAIサービスを開発するのはAIエンジニアの重要な役割です。
開発する製品・サービスによっては社会に大きなインパクトを与える可能性もあり、イノベーション創出や社会貢献といった意味でやりがいを感じられるでしょう。開発に付随して特許取得も可能で、AI業界をリードする存在になっていくことも考えられます。
既存のAI技術の展開
開発を担当するとしても、常に新技術を扱うとは限りません。既存のAI技術をオリジナル以外の製品・サービスに展開し、AI活用を浸透・普及させることもAIエンジニアの重要な役割です。
例えば、自動運転技術を同じメーカーの自動車に搭載したり、類似する工作機械の異常検知・機器制御機能を統一したりすることが挙げられます。新技術の開発に比べて地味に思えるかもしれませんが、優れた技術を業界・社会のスタンダードにしていくための大切な仕事です。
AI技術搭載製品の保守運用
AI技術を搭載した製品・サービスはリリース時点では最新ですが、運用中に不具合が発見されたり、機能追加の必要性が生じたりするケースも考えられます。不具合の修正や機能追加・変更に対応する保守運用業務もAIエンジニアの役割です。
例えば、ユーザーの走行情報をフィードバックして自動運転システムを洗練させたり、AIチャットボットの対話をより自然に仕上げたりすることが挙げられます。AIは大量のデータを学習させて推論機能を強化するので、得られたデータを学習させてさらに高度なAIにしていく作業も重要です。
AIエンジニアへ転向するための対策
これからのプログラマーは従来のコンピューターシステムに縛られることなく、先端領域、特にAIに関する知識・スキルを磨くことが大切です。ここからは、AIエンジニアへ転向するために取るべき対策を3つに分けて解説します。
データ分析や統計解析の知識を学ぶ
AIは大量のデータを読み込んで規則性やルールを学ぶので、AIエンジニアは機械学習・データ分析・統計解析に関する知識・スキルを要します。
Pythonは機械学習向けに優れたライブラリが用意されており、AI開発と不可分といえる言語です。また、R言語も機械学習向けのライブラリが豊富な他、データ分析・統計解析に特化した機能を特徴とします。
Pythonは学びやすい言語ですが、R言語は統計学者向けに開発された言語なので学習難度は高めです。少なくとも機械学習とPython、できればデータ分析・統計解析とR言語の知識・スキルも習得しましょう。
最新のAI技術の情報を収集する
AI技術は世界中で研究が進んでおり、日々新たな知見が生まれて業界標準のAI思想や技術も変わっていきます。AI技術を用いた製品・サービスを開発するなら、最新の研究結果をキャッチアップしましょう。
機械学習に関する主要な国際学会である「ICML(International Conference on Machine Learning)」や、AIに関する世界最高峰の国際会議である「AAAI(Association for the Advancement of Artificial Intelligence)」の最新情報は特に重要です。
国内の情報源としては、「日本ディープラーニング協会(JDLA)」や「人工知能学会」をおすすめします。
AIエンジニアに役立つ資格を取得する
国家試験である「ITパスポート試験(IP)」の資格勉強をすれば、IT全般に関する基礎知識が学べるでしょう。日本ディープラーニング協会は、ジェネラリスト向けの「G検定」とエンジニア向けの「E資格」という2つの資格試験を実施しています。AIエンジニアを目指すならE資格の取得がおすすめです。
データ分析・統計解析の関連資格は「統計検定」の2級以上や「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」、ディープラーニングの関連資格なら「AI実装検定」、画像認識システム関連資格なら「画像処理エンジニア検定」の取得をおすすめします。
ジャパニアスではAIエンジニアを積極採用中!
ジャパニアスはAI・IoT・クラウドをはじめとした先端テクノロジー事業を営んでおり、ハードウェア・ソフトウェア・インフラも含めて日本のエンジニアリング業界を支え続けています。
スキルに応じて上流工程にも携わることができるなど、一人ひとりのスキルに合わせた案件をアサインいたします。そのため、着実なスキルアップが可能です。
さらにエンジニア力を高めるために、一人ひとりに合わせた教育研修も行っています。テクニカル研修だけでなく、ヒューマンスキル研修など着実にスキルアップできる充実した研修・育成環境が整っています。
現在はAI関連事業を網羅的に展開しており、プログラマーからのキャリアアップとしてAIエンジニアを目指せる場も非常に豊富です。スキルを生かせる環境が整っている上、今後のキャリアパスも描きやすいでしょう。
プログラマーとしての転職やAIエンジニアへのキャリアアップをお考えなら、ジャパニアスの中途採用枠にご応募ください。
まとめ
現在はノーコード開発ツールの普及やオフショア開発の一般化、AIに対する社会的ニーズの高まりといった状況があります。先端技術に対応しない従来型のプログラマーは、今後需要が縮小していくと考えられるでしょう。
プログラマーは「何を開発するか」を考える必要がある時代です。政府も人材増加を強く求めるAIエンジニアであれば、業界をリードする先端IT人材が目指せます。
ジャパニアスはAI関連事業を主軸に事業展開しており、プログラマーからAIエンジニアへのキャリアパスを強力にサポートできるのが強みです。今後、多彩なスキルを所持したプログラマーとして、またはAIエンジニアとして活躍したいとお考えなら、ジャパニアスの中途採用枠にご応募ください。